京都あすなろ教室

塾長の挨拶

〜開塾15年目の春に想うこと〜



2010年の春、私はこの「京都あすなろ教室」を立ち上げました。
あれから幾星霜。その間、たくさんの不登校児と高校中退者、およびその親御さんと出逢い、接してきました。いろんな対話を交わし、悲喜こもごもの物語を共有してきました。

開塾時に作ったホームページには、
「不登校児を東大へ」
という惹句を私は大きく掲げました。
今思えば、往時の自分は、教育というものを軽く考えすぎていました。だから、「不登校児を東大へ」なんて目標は五年もあれば叶えられるに違いない――本気でそう考えていました。
「だって勉強なんて、やればやっただけ伸びるんやから、簡単な話やん」
と……。
しかし、実際には、そんなに簡単な話ではありませんでした。
「頑張れない子(頑張らない子)」がこんなにも多いのか、と思い知りました。そして、「頑張れない子」が自力で立ち上がるのをあらゆる側面から支え、明るい方向へ導いていくことの難しさと面白さを、開塾から15年経った今も、試行錯誤しながら実感し続ける毎日です。

京都大学、早稲田大学、明治大学、同志社大学などの名門大学に教え子を送り込むことは叶いました。が、東京大学へ合格した教え子は、まだ、いません。開塾時の「目標」は未だに果たせずにいます。
いつかその「目標」が叶ったらいいな、と思います。それは今も私にとって「大切な目標のひとつ」ではあります。
が、今現在の私(と講師たち)が最も重視しているのは、「偏差値」や「学歴」ではありません。敢えて乱暴に言えば、「そんなもの」は些事です。
では、何をいちばん重んじているのか?
一言でいえば、教え子の心身の健康です。
不安と焦りと苛立ちのない生活。自己嫌悪、自己憐憫、罪悪感、(他者への)恨みと憎しみと嫉妬……そうしたマイナスの感情から解放され、穏やかで朗らかな毎日を教え子が送ってくれること。それが、私と講師たちにとって「最上位の目標」です。
「サボる」という意味ではなく「楽で、楽しい生活」を教え子には送ってほしい。その中で、善き仲間と邂逅し、魅力的な男女と善き物語を共有してほしい――ただただそう願っています。
その大きな目標と比較したとき、「東大合格」なんぞはどーでもいい、とさえ言い切れます。

閑話休題。
自らの進路を主体的に切り拓こうとする不登校児・高校中退者のお手伝いをさせてもらうのが、この京都あすなろ教室です。
勉学面は言わずもがな、精神面でのフォロー、サポートを徹底的に行います。
生徒本人だけでなく、我が子の不登校で悩み苦しむお母さん、お父さんの「リアルな味方」になりたいとも私たちは考えています。
不登校(高校中退)は「その子ども一人の問題」ではなく「家族全体の問題」です。お母さん、お父さん、あるいは兄弟姉妹が抱えてきた「心の中の重たすぎる荷物」の何割かを私や講師たちに持たせてほしいのです。「家族全体の問題」ではありながら、「家族だけで解決するにはあまりにも厄介」なのが不登校問題だと思われますから……。

一部の精神科医や臨床心理士、各種カウンセラーたちは、
「見守りましょう」
と簡単に言います。
あるいは、
「(立ち上がるのを)待ちましょう」
「『がんばれ』は禁句」
彼らの常套句です。
では、いつまで見守り続けたらいいのでしょう?
待ち続けた先にはどんな進路が拓けて、いかなる未来が待ち受けているのでしょう?
リアルな方策と実際的な行動を伴わない「見守り」「待ち」をどれだけ続けても、現実の景色はいっこうに明るくなりません。むしろ、暗くなるばかりではないでしょうか。
小さくてもいいので、リアルに行動する。頭でごちゃごちゃ考えるのではなく、言葉をこねくり回すのでもなく、実際に(本人が本人の意志で)動くこと。それが京都あすなろ教室の基本的な姿勢です。
「小さなことを積み重ねることだけが大きな結果を出す唯一の方法」
とイチロー氏がどこかで語っていましたが、まさにその通りだと思います。

「うちの子にハードな勉強なんて無理だ」
「うちの子はどうやったって変われない(変わらない)」
「塾なんて、とても通えない」
「大学なんて、夢のまた夢」
今の我が子の姿(や生活ぶり)を見て、そう考える親御さんもいらっしゃるかも知れません。(うちに我が子を通わせようとする)親御さんの大半がそんな悲観的な思いを抱えておられます。
が、私はここで、ひとつだけ断言したいです。
「人は変われる」
と。
正確に言えば、本人が変わろうとして実際に動き、周囲の人間が適切なやり方で彼・彼女を助け、支えることができたなら、人はちゃんと変われます。
「時間が勝手に変えてくれる」なんてことはありません。本人が変わろうとしない限り、哀しいまでに変わらない(もしくは悪化すら、するでしょう。8050問題が社会問題となっているのがその証左です)。しかし、本人が本当にこの昏い現実を変えようとして、小さな行動を積み重ねることを始めたなら、必ずや眼前の景色は動き、時の流れとともに変わっていきます。
京都あすなろ教室は、再生と創造の教室です。
不登校児のあなたが、あるいはあなたのお子さんが「より善く、より明るく変わる」お手伝いを、私と講師たちにさせてください。

不登校児の中には、「過敏性腸症候群」や「起立性調節障害」など、難しい病を抱えているお子さんも少なくありません。
言わずもがな、病を軽視はしません。が、いつまでも病に屈しているわけにもいかないでしょう。
京都あすなろ教室の歴史を紐解けば、教室に通う中で、症状と折り合いをつけ、受験を乗り越えることができた生徒が何人もいます(※講師からのメッセージ欄にある、講師・上田の文章を読んでいただきたいです。彼は過敏性腸症候群という持病を抱えながらの受験生活を乗り越え、今は大学生として活き活きとした生活を送っています)。
病に白旗を上げてしまうのではなく、その病と向き合い、現実的な折り合いをつけながら、やがて病さえをも乗り越えていく。そういう経験と対策をうちの教室は有しています。現在、現役医学部生(神戸大学、京都府立医大)が講師として四人在籍しているのも京都あすなろ教室の強みであると自負しています。

このホームページをご覧になって、京都あすなろ教室に少しでも興味を抱かれた方は、ぜひ私にご連絡をください。それこそが上述した「小さな行動」です。その小さなアクションから、すべてが始まります。「たったひとつの正解」があるのではない。「その子にとっての正解」を共に探り、見つけていきましょう。
強引な入塾勧誘などは一切しないとお約束します。選択肢はうちの他にもたくさんあることを私は知っています。すべての不登校児にとって京都あすなろ教室が「最善の選択」だと自惚れるほど愚かでもありません。また、強引な勧誘の末に入塾した塾で好ましい結果が出ることはないでしょう。誰もハッピーになれない。それゆえ、私は相談者の主体性と意志を尊重し、むやみな勧誘などは絶対にしないと決めています。「自分の意志で入塾した子」でないと、明るい結果なんて出ませんから……。
まずは、入塾するかしないかは脇へ置き、柔らかな気持ちで語らいましょう。
私に、あなたの(お子さんの)「今、ここ」に在る現実(の苦悩と希望)を聞かせてほしいのです。
もしかしたら、力になれるかも知れません。待望の突破口を提示してみせることが京都あすなろ教室にはできるかも知れません。

金銭面で不安な方もいらっしゃるかも知れません。たとえば、「月に☓回だけなら授業を受けさせられるのだけど……」、あるいは「授業料が△円以内でおさまるような授業スケジュールを組んでほしい」といったリクエストには極力応えていくつもりです。
お子さんの進路が拓けても、ご家庭の財政事情が悪化するなら、「差し引きして、それは幸せなのか?」という話になりますからね。親御さんにも寄り添うこと。それは京都あすなろ教室が大切にしている「約束事」のひとつです。

ご連絡をこころよりお待ちしています。
その子に適した目標を設定し、その子に時間軸に沿った計画を立て、丁寧に、かつ確実に前へ進んでいくのが京都あすなろ教室です。
「他の塾にはできないことが、うちには、できる」
私も講師たちも、そう自負しています。
生徒本人を真ん中にして、皆で助け合って、支え合って、「再生と創造の物語」を共に創っていきましょう。


守内祐司 2024年4月1日

【塾長プロフィール】
守内祐司……1973年、京都生まれ。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修中退。趣味は将棋、水泳、料理。
サービス名

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